みやTのカウンセリング実践力通信2

◆カウンセリング・コラム③ :こころのテーマに耳を傾けよ!

今回は、あるケースの話から始めたいと思います。

30代の男性クライエントは、出張先のホテルのベルボーイについて、「あいつはプロなのに、プロとしての仕事をしていない!」と怒っておられました。カウンセラーはその話を共感的に聴いていましたが、スーパーヴィジョン(個人指導)の中で、次のような指摘を受けました。「これは、あなたのことを言ってるんですよ。クライエントは、あなたはプロのカウンセラーなのに、ちゃんと仕事をしていないって言ってるんですよ」。

そのカウンセラーは、正直ピンときませんでしたが、その後の面接でクライエントが同様の話をされた時に、思い切って尋ねてみました。「Aさん、ひょっとすると、ここでも同じような気持ちがされることはありますか?」

するとクライエントは、「・・・実は、先生にもそう感じてたんです・・。先生はプロのカウンセラーなのに、ただ聴いているだけでアドバイスもしてくれないし・・プロとしての仕事をしてないって思ってたんです」、「先生は面白いですね。自分を打たせて考えさせて、なんか人間サンドバックみたいですね(笑)」と笑われ、前よりもたくさんのことをカウンセリングで考えられるようになったと言われました。

そして、話はさらに深まり、次のような話題が出てきました。そのクライエントの母親はうつ傾向がひどく、育児や家事を十分にこなせず、寝込みがちでした。クライエントはそんな母親に対して、小さい頃からとても腹を立てていました。「母親としての仕事を、果たしていない!」と感じていたのです。

もうお気づきかもしれませんが、ここには共通のテーマが流れています。つまり、彼は母親に対して「本来果たすべき役割を果たしていない」と怒りを感じていて、そのテーマがベルボーイやカウンセラーとの間でも繰り返されていたのです。

「実践力養成コース」では、図1の「3つの対人領域」を二重写しに見て、そこに共通する「こころのテーマ」に耳を傾けることを勧めています。

「ホテルのベルボーイの話」は、「2.現在の面接場面外での対人関係」ですが、そのことを「腹が立ったんですね」と聴いているだけでは、面接は深まりません。

そこに流れている「こころのテーマ」が、いたるところで繰り返されていて、「今、ここ」での2人の関係性においても生じてきている可能性に気づく必要があります。

「今、ここ」での問題として、カウンセラーがしっかりと受けとめる中で、次第にその「こころのテーマ」が生じるに至った母親との関係、「3.想起された過去の対人関係(特に両親との関係)」の話題が、面接関係で取り上げられるようになりました。

この「3つの対人領域」に共通する「こころのテーマ」を、ルボルスキーは「中核葛藤テーマ」と名づけました。例えば、前回で取り上げた「一雄さん」であれば、自分が成績優秀で勝っている時は、「自尊心」を保つことができるけれども、自分が下になってしまうと、途端に「バカにされている」、「見下されている」と感じて不安になるという「中核葛藤テーマ」を読みとることができました。

カウンセラーはごく初期から、クライエントの「中核葛藤テーマ」を明確化することを目指して、クライエントの話に耳を傾けたいものです。

図1