カウンセリング・コラム⑦

みやTのカウンセリング実践力通信2

 

 

◆カウンセリングコラム⑦ :「内的体験の探索を促す『問いかけ』を行え!」

カウンセラーは、クライエントの「情緒」、「気持ち」、「考え」などの「内的体験」に焦点を当てて、話を聴こうとします。『カウンセラー実践力養成コース』では、杉原保史先生の著書、『技芸(アート)としてのカウンセリング入門』をテキストとしていますが、その中で杉原先生は、次のように指摘しておられます。

カウンセラーの聴き方は、「クライエントが自らの内的な体験に目を向け、それをじっくりと探究するモードに入っていくよう助ける聴き方」である。しかし、「多くの初心のカウンセラーは、クライエントの悩みを聴いて、事実関係や現実状況の把握に努めようと努力しがち」であり、そのために面接が深まらないと、杉原先生は指摘しておられます。こちらが事実関係ばかりを尋ねると、クライエントの語りは「事情の説明」になり、「情緒に触れる語り」から離れてしまいます。

カウンセラーの「問いかけ」は、「いつ」、「どこで」、「何を」、「どんなふうにしたのか」といった「事実関係」よりも、その事実関係の中で、クライエントが「何を感じ」、「何を考え」、「何を体験したのか」という「内的体験」に、より大きなフォーカスをあてます。

この違いは、今まで示してきた以下の図でも表すことができます。初心のカウンセラーは、クライエントの悩み事を自分なりに分析するために、「事実関係」の情報収集をしてしまうのです。もちろん、カウンセリングでも「事実関係」は尋ねますが、それはあくまで、クライエントの「内的体験」を追体験するためです。

事実関係を尋ねる聴き方2

内的体験を尋ねる聴き方  

クライエントの「内的体験」を尋ねる際は、相手を責める印象を与えがちな、「なぜ」、「どうして」といった尋ね方はせずに、「どんな」というふうに問いかけていきます。

例:リストカットをしたクライエントに対して
〈なぜ、そんなことをやったの?〉×
〈そこまでしたのには、何か思いがおありだったんじゃないかと思うんだけど、どんな思いがあったの?〉○

他にも、「内的体験を尋ねる質問」には、以下のようなものがあります。

〈その時に、どんなふうに感じたか、もう少しお話しできますか?〉
〈その時は、どんな思いがおありだったんでしょうか?〉
〈その時の気持ちは、言葉になりますか?〉
〈その時は、どんなことが心配だったんでしょうか?〉 など

ただし、こうした「内的体験を尋ねる質問」は、クライエントに負荷を与える側面もあります。
ですから、連発すべきではありません。大事なポイントで探索に誘うために、「時折」尋ねる程度にして下さい。
改まって、「その時は、どんな気持ちだったのでしょうか?」と尋ねられると、クライエントは改まって考えないといけず、場合によっては重いタスクを与えることになります。
クライエントの話の流れの中で、クライエントが気持ちをさらに表現できるように、水の流れをさらに後押しするようなイメージで、〈その時の思いは、もう少し言葉にできますか?〉と尋ねていくのです。