ミヤTの【カウンセリング実践力】通信! No.10

みやTのカウンセリング実践力通信2

 

関西カウンセリングセンター専任講師の宮田智基が、カウンセリング実践力養成講座のカリキュラムから、カウンセラーを目指す人にWEB講義を発信します。カウンセリング実践力養成コースでカウンセラーが学んでいること、じっくり、たっぷりお伝えします。

◆実践力の極意 その10 :「パーソナリティを読み解け! 認知の仕方」

前回の実践力通信では、誰もが心の中に様々な「自己イメージ」、「他者イメージ」をたずさえて生きており、その人の「物の見方(認知)」や「感じ方」は、こうした「自己イメージ」や「他者イメージ」によって、絶えず影響を受けていることをお伝えしました。

対人関係の相互作用モデル 認知の仕方

我々は、「自己イメージ・他者イメージ」の「色眼鏡」を通して、自分や外界を認知しているのです。
黄色の「色眼鏡」をつけておれば、世界が黄色に見えるように、「人は自分を嫌っている。怒っている」という「他者イメージ」(図の①)の色眼鏡(図の②)をつけておれば、他人の些細な言動でも「私を嫌いだからだ」、「怒っているんだ」と意味づけやすくなります(図の③)。

たとえ、カウンセラーが共感的に関わっていたとしても、カウンセラーもクライエントの「色眼鏡」にからめとられてしまいます。
ある場合には、クライエントの心にある「母親イメージ」と同じような人物であると「認知」され、クライエントは過去に「母親」に対して感じていた感情を、カウンセラーとの間で追体験することになります。
精神分析では、こうした現象を「転移」と名づけました。

こうした現象は、普段の生活でもしばしば生じます。
例えば、ある女子高生が、「みんな私のことを嫌っている」という「色眼鏡」をかけていれば、休み時間にクラスメイトが数人で笑っていると、「私のことを笑ってるんじゃないか」と認知して、つらくてその場を立ち去れるかもしれません。
もし、その子が「みんな、私を受け入れてくれる。友達だ」という「色眼鏡」をつけていれば、「何々?何を笑ってるの?」とその友達の輪に入っていくかもしれません。
同じ状況でも、その人の「色眼鏡」によって、その人の「感情」や「行動」は、まったく別のものになるのです。

人間は、「自己イメージ・他者イメージ」に彩られた「主観的な意味づけの世界」に生きています。
誰もが「色眼鏡」をつけて生きていますが、その色眼鏡が濃すぎると「生きづらい」ということになります。
こうした「認知の歪み」を明確化し、修正することがカウンセリングのひとつの目標となります。

また、「自己イメージ・他者イメージ」は、「心にある地図」のようなものです。
病理の重いクライエントは、「現実の土地」である「外的対人関係」を見ずに、歪められた「心にある地図」ばかり見て行動してしまいます。
カウンセラーが変えようとしているのは、この歪められた「心にある地図(自己イメージ・他者イメージ)」だと言えます。

しかし、「地図」の間違いは、「地図」だけ見ていてもわかりません。
「現実の土地」である「外的対人関係」と照らし合わせて、はじめて「地図」の間違いがわかります。
より歪みの少ない「認知の仕方」を手に入れていくことが、カウンセリングのひとつの目標となるのです。