コース紹介

研修会

KSCC統合的心理療法セミナー 講座内容 《2021年度》

分類:心理系
研修会番号:

講座内容

第1回:フォーカシングとナラティヴ・セラピー 6/13(日)

<講義1>坂本真佐哉先生:『会話と意味を生み出すナラティヴ・セラピーの実践』

数多ある心理療法の理論によってその本質は異なるかもしれない。「正しい」知識を伝授することが役に立つわけではないことは誰しも理解できるだろう。ナラティヴ・セラピーで目指すところのストーリーの書き換えはセラピスト優位に進められたところで意味はなく、自発的な営みの中で初めて「意味」が生じる。「外在化する会話」はあまりに有名であるが、そこにこめられた「意味」と共に実践の糧としたい。

<講義2>池見 陽先生:『フォーカシング:その奥に流れるもの』

「フォーカシング」の背景にはどんな考え方があるのか、基本的なところに目を向けてみることにしましょう。そこには、「体験過程」(Experiencing) という人の意識・体験に関する基礎的な現象学的観察があります。それは人の体験と言葉などの象徴が如何に相互作用しているのか、といった観察です。さらに、常に象徴と相互作用している人の体験と他者の体験はどのように絡み合っているのでしょうか。実践を交えながら、フォーカシングの奥に流れるものに触れてみることにしましょう。

 

 

第2回:心理療法におけるセラピストの個性  7/18(日)

<講義1>杉原保史先生:『セラピスト効果と個人としてのセラピスト』

これまでに蓄積されてきた効果研究によれば、セラピー間の治療効果の差(技法要因)よりもセラピスト間の治療効果の差(セラピスト効果)の方がずっと大きい。つまり、どのセラピーをするかよりも、どのようなセラピストであるかの方がずっと重大なのである。しかし多くの心理療法理論は、セラピーについて語るほどには、それを遂行する人については多くを語らない。今回は、面接室でパーソナルに反応する生きた個人としてのセラピストについて考えてみたい。

<講義2> 西村 馨先生:『セラピストの個性」- 訓練上の課題として』

セラピストの個性を訓練上の課題としてどう考えるのがよいだろうか。セラピストは「自分らしさ」を磨いて、個性的になるべきだろうか。それとも、技術を磨くべきだろうか。私の暫定的結論は、基礎技術を「身に着け」、「自分が生きる」ように使う必要があるが、「自分を超えた」視点も必須である、というものである。これまでの訓練経験と臨床実践の理論的根拠、スーパービジョンの経験をもとに、この議論を深められたら幸いである。

 

 

第3回:ケースフォーミュレーション 8/29(日)

<講義1>加藤 敬先生:『理論複合アプローチで使われる多元的アセスメント』

アセスメントは一般に診断や見立てという意味ですが、心理師が所属する機関によって援助目的が異なるため、アセスメントの特徴が微妙に変わります。またアセスメントで得られて知見は利用者に対してレッテルを貼るものではなく、あくまで支援目的のために使われるもので実在する概念ではありません。以上の点に注意しながら、演者の行う多元的アセスメントを解説し、どのように使用しているか事例を通じて紹介したいと思います。

<講義2>三田村 仰先生:『ありふれた、でも妥当な見立てを目指して:多元的なケースフォーミュレーション』

多元的アプローチとは,目の前の状況にあわせてさまざまな方法論(技法や理論)を柔軟に取り入れつつ,また,その際の支援者側の認識論(価値観や世界観)についても自覚的でいる支援の在り方をいいます。実践の現場における,“理論を統合した実践は難しいし,多彩な方法論だけでは意思決定が難しい”という状況を想定して,ありふれてはいるけれど,より妥当なケースフォーミュレーション(見立て)を実践するための発想について整理していきたいと思います。

 

 

第4回:スピリチュアリティ  9/19(日)

<講義1>福島哲夫先生:『スピリチュアリティの統合』

心理療法統合にとって欠かせない要素の一つにスピリチュアリティの統合がある。これは、日常生活や心理療法過程の中に現れる「偶然と考えるには、意味深すぎる」とか「人智を超えたはからい」と感じられる現象の事である。これは例えばAEDP(加速化体験力動療法)の中では変容の「ステイト4」、または「コアステイト」と言われる状態でも見られる。このことについてより広い視点から解説し、関連する心理療法動画の一場面も視聴しながら、一緒に考えていきたい。

<講義2>東 豊 先生:『役に立つ、ちょっと怪しい「スピリチュアル」な考え方』

「P循環N循環」という考え方と実践について詳しくご紹介します。これは心理療法(システムズアプローチ)と宗教・スピリチュアル系を統合したような方法です。「非科学的」であっても人生に役立つ枠組みであるなら積極的に利用しようとするプラグマティズムがベースになっています。書籍ではちょっと紹介できないような奇異な話も含めて、当日は皆さんと語り合えたらと思っています。

 

 

第5回:精統合的心理療法と物語 10/10(日)

<講義1>東 斉彰 先生 :『物語の観点から心理療法を統合する』

心理療法の本質や有効性を語るとき、エビデンスかナラティブか、説明か理解か、一元論か多元論か、といった議論が起こります。私たちは心理療法をどのような観点から見ればよいのでしょうか。今回の講義では、物語の観点から心理療法を眺望し、人間の考え方や感じ方や行動の仕方、また心理療法の理論や方法、介入について考察したいと思います。哲学的思考や文化論的考察も使いながら、人間存在の本質まで掘り下げることができたらと考えています。

<講義2>下山晴彦先生:『物語過程としての認知行動療法』

認知行動療法では、「刺激」−「反応(認知・感情・身体・行動)」−「結果」の各要素が絡み合って問題維持の悪循環を形成されているとみなす。その悪循環をケースフォーミュレーションとして取り出し、外在化し、介入方針を決定する。このような認知行動療法は客観性重視とされる。それに対して精神分析やクライエント中心療法は、内的世界に介入するという点で主観性重視とされる。その結果、認知行動療法と精神分析やクライエント中心療法は異質であり、水と油のように対立するものとみなされる。しかし、心理療法を物語(story)過程とみるならば、認知行動療法も精神分析もクライエント中心療法も同じ物語の一部となる。「劇としての物語(drama)」に関わるのが認知行動療法、「語りとしての物語(narrative)」に関わるのが精神分析やクライエント中心療法となる。いずれも物語技法を駆使しているのであり、それらを組み合わせ、統合して運用できる。

 

 

第6回:修正情動体験 11/21(日)

<講義1>岡野 憲一郎 先生:『「修正情動体験」を改めて考える』

従来の精神分析の世界では、アレキサンダーの「修正情動体験」にはネガティブな評価が下されてきた。しかしその理由は何だろうか? 古典的分析理論の批判の対象はそこにある潜在的な価値を反映している可能性があるのは、昨今のフェレンチの復権の例を見てもわかる。当日はこの概念の現代的な意味について臨床に即して考えたい。

<講義2>崔 炯仁 先生:『外傷的育ちを抱える人の治療における変容』

外傷的育ちを抱える人の力動的精神療法において、治療関係をとおして他者との関係の体験が変容されることは普遍的な目的とも言える。治療者による主導的な情動の修正を企図するF.アレクサンダーに対し、J.ストレイチーは治療者の中立性に根差した解釈が患者の変容を惹起するとし、P.フォナギーは、メンタライジング促進の基礎として治療関係の中で醸成される認識的信頼を重視する。このように多士済々に論じられてきた治療における変容を促進する因子について、自由な思考を喚起される時間を参加者の皆様と共有したい。

 

 

第7回:統合的心理療法における訓練 1/23(日)

<講義1>岩壁 茂 先生:『臨床家の職業的成長と訓練』

臨床家としての成長や技量の向上に必要なのはどんな訓練や活動でしょうか。実証研究の知見を取り上げながら「効果的な臨床家」の特徴について解説して、それらをどのように身につけるのかということを一緒に考えていきます。講義に加えて、臨床スキルの向上に重要な役割をもっている限界学習・練習についてもデモンストレーションをして、皆さんと臨床家の学び方について一緒に考えていきます。

<講義2>村瀬嘉代子先生:『統合的アプローチの習熟に求められることとは』

近年、心理臨床職者の職能の中に協働、連携の働きが求められるようになった。このためには、心理臨床家の成長を専門性の垂直的向上を志向するばかりでなく、水平的成長をも同時に志向することが求められる。岩壁先生による限界学習・練習や従来典型的とされてきた学習や訓練の方法に加えて、どのような学習・勤務・生活経験が個人の垂直的並びに水平的成長をもたらすかについて、具体例をあげて御一緒に考えたい。

 

 

第8回:メンタライジングと親子相互交流療法による親子支援  3/13(日)

<講義1>上地 雄一郎 先生:『メンタライジングによる子どもと親への支援』

子どもの様々な心理的問題、とくに不適切な養育や子どもの心に関心を向けない養育がもたらす愛着の問題を改善するには、子どもはもちろん養育者や家族を支援することが不可欠です。子どもと養育者・家族との両方を支援して、互いの心を理解し合う関係性を築き上げるメンタライジング・アプローチについて、その基本を解説します。

<講義2>國吉 知子 先生:『親子相互交流療法(PCIT)の実際』

親子相互交流療法(PCIT: Parent-Child Interaction Therapy)とは暴力や癇癪など問題行動のある幼児と養育者を対象とする親子同室プレイセラピーで別室のセラピストが親にスキルをライブコーチする米国発祥のアクティブな行動療法です。親子関係と子どもの問題行動の改善に高い効果がみられ、ASD児にも有効、親の虐待再発率も抑制する知見もあります。PCITにより親が受容的態度や適切な制限の仕方を学びauthoritativeな態度(Baumrind)を獲得することで子どもの情緒も安定します。本講ではPCITの治療構造やスキルを具体的に紹介していきます。PCITのスキルはコンパクトで理解しやすく親面接のブラッシュアップにも役立つことでしょう。

 

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